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成果を出し続けるための変革を2019/01/11

規模に依存した成長戦略から生産性が牽引する成長戦略へ

Dr. Santhi Kanoktanaporn_APO SG新たな時代に適応するには自らが変化していくことが重要ですが、その変化とは結果であり、入念に作りこまれたものでなければなりません。そのためにはデジタル化の恩恵を受けつつ技術革新がもたらす経済・社会の創造的破壊に対応することが肝要といえます。

この2年間、APOは変化を形にするためにさまざまな取り組みを行なってまいりました。2018年には、先行モデルの投入とともにコンテクスチュアル・アウェアネス(状況に即した先読み力)やデザイン思考の導入等、付加価値の高いイニシアティブの提供を通した変革を推進し、各方面から評価をいただきました。その一環として、時代の先を読み陣頭指揮のできる実務家の育成を目指すべく、シナリオに基づいた戦略策定の研修プログラムの提供を開始しました。

昨年9月から11月、第一段階としてバンコク、マニラ、コロンボで開催したワークショップを経てAPO strategic foresight movement(APO戦略的フォーサイト運動)が順調に進んでいます。このワークショップは、加盟国政策立案者の先見力・シナリオ策定力を強化し、先行きが不透明なグローバル環境における的確な舵取りと客観情報に基づいた戦略的意思決定により、生産性向上とその維持に寄与することを狙っています。

また、加盟国の変革と成長に向けた取り組みを支援するイニシアティブの一環として、Specific National Program(国別プログラム、SNP)を立ち上げました。SNPでは、加盟国の個別ニーズを踏まえた社会経済全体の成長のための生産性および競争力の向上を目指しています。初回事業は昨年12月、「カンボジア国家生産性基本計画2020-2030」の同国政府への提出により完了しました。同計画では、2030年までに同国が高・中所得国として成長を実現させるための戦略とアクションを提案しています。

さらに、昨年は、加盟国生産性本部や関連組織につき、生産性向上専門家の「認定」を行なう組織として「認証」するAccreditation Body Council(認定機関委員会)を設置しました。本委員会は本認証にかかる最高意思決定機関として機能し、かかる認定や認証に関する方針、ガイドライン、戦略に関する助言を行います。当該認定スキームはプログラムの品質および妥当性を担保する国際規格に準拠して設計され、未来志向の戦略マネジメントやフォーサイトプログラムも提供しています。

一方、2018年を通じて大きな懸念材料となったのは、農業分野における停滞でした。農業は現在も多くの加盟国における主要な経済分野ですが、他分野の急速な進歩にあわせていくことが求められています。昨年、APOでは加盟国が将来直面する食糧問題対応のための支援としてAgricultural Transformation Framework(農業改革の枠組み)の策定に着手しています。加盟国政府はこの枠組みに基づき、農業生産を近代化し生産性向上を確かなものにすることで、包括的かつ広範囲での社会経済の成長を実現することが期待できます。

さらにこの枠組みは、加盟国が農業関連産業を第4次産業革命に速やかに適応させる支援策でもあります。生産性向上と、食の安全の改善のための農業分野の変革が新たな雇用と所得の増加ひいては経済の活性化をもたらします。

こうしてもたらされた経済の成長が確実なものとなるか否かは、各国政府が社会・経済の発展といかに足並みをそろえていくかにかかっています。成功の鍵は、規模依存の成長戦略から生産性を重視した成長戦略への移行です。規模に依存した成長は、労働力と資本の拡大による経済成長をもたらすものの、長期的には収益が低下する側面があります。一方、生産性重視の戦略は効率的・効果的な資源の利活用による成長をもたらします。

生産性牽引型成長戦略に不可欠な生産性のマネジメントは、想定されうるあらゆる影響要因を考慮した総合的なアプローチが求められ、その要因は企業毎、産業毎、経済全体までの各レベルにまでわたり、そのアプローチには国レベルでの生産性運動が不可欠です。この運動を促進するイニシアティブの一環として、APOはComprehensive Productivity Movement Framework(包括的生産性運動の枠組み)の策定に着手しました。この枠組みは、加盟国がさまざまな要因に着目した結果、国民一人当たりGDPの増加と社会経済の変革をとおして豊かさをもたらすよう支援します。

テクノロジーを活用した変革の推進は、諸資源のマネジメントをとおした生産性向上につながり、格差を縮小しながら成長牽引の原動力を作り出すことが期待できます。共通目標の達成のために人々の結束を促すのみならず、適正な事業の遂行とモニタリングや評価を通した有効な意思決定が結果として生産性や競争力の向上をもたらします。

2018年は、APOにとってこうした変革のためのイニシアティブがスタートした重要な一年でした。そして、新たな一年もさらにおしすすめてまいります。

APOは加盟国とともに、加盟国経済圏に独自の価値を生み出してきました。今後も末永く、有意義な協力関係を継続していく所存です。

2019年が皆様にあまたの喜びと新たな実りをもたらしますよう。皆様のご健勝とご多幸を、そして平和な一年であることをお祈り申し上げます。

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