日本人専門家の声
APO加盟国企業の競争力の強化に繋がる‘モノづくり’の考え方とその実践
堀内技術士事務所 代表(技術士) 堀内康夫氏
スタディミッション(視察研修)「生産革新」(2007年11月26日〜12月7日)講師
視察研修の流れ
(1) 現場でチェック
ムダが無いか、よく見て問題点を把握することが必要
(2) 班別に別れムダの解決方法を議論

他国研修生のよい意見を取り入れる能力を磨く
(3) 良い提案はすぐに実施し、改善方法・技術を磨く

平成19年11月26日から12月7日までの2週間に渡りAPO加盟11カ国18名の海外研修生に対し生産革新に関する講義、現場研修を指導した。
私は国内外で多くの改善指導をしてきたが、新しい研修生を迎える都度、研修指導を担当することの楽しみと共に、どのようにすれば研修生により多くの技術を修得させ得るかプレッシャーを感じる。今回の技術指導では、グローバル市場経済における競争激化、地球温暖化に対する社会的責任、インターネットなどの技術を駆使した効率化などの視点から、企業にとってあらゆるムダを排除した生産システムが重要であることを強調した。トヨタ自動車は1954年にTPS(トヨタプロダクションシステム)を確立し、JIT(ジャストインタイム=造り過ぎ等の一切のムダを排除)、Automation(オートメーション=品質は工程で造り込む)を継承してきた。
自動車産業をリードするトヨタから学ぶべきことは下記の通り非常にシンプルである。
- 注文数しか作らない、在庫を持たない。
- 不良はムダの典型である。
- 材料高騰の折、材料のムダも排除する。
- 人材育成を疎かにすることもムダである。組織のムダも排除する。
私は、講義のコンセプトを、「 Lean Management System under Concept of Mottainai 」として、全従業員参加型の「もったいない」という視点による改善活動が重要であると説いた。革新的なモノづくりは難しいものではなく、ムダの極小化がその出発点であると強調した。
今回の研修では、企業の生産管理に関する上級技術者のみならず、大学教授、コンサルタント、生産性本部の職員が参加したが、どのセクターからの参加者であっても、ムダの排除= Mottainaiのコンセプトの重要性を理解していただけたものと考える。
昨今海外で技術指導を開始するに当たり政府関係者と事前打合せをすると、わが国では5S等は既に卒業した、 更に高度の技術を導入したいとよく言われる。しかし実際に現場を見てみると不良率が高いケースが多く、その原因の多くは5Sの不徹底である。5Sの基礎ができていない現場に高度なシステムを導入しても無駄であると言わざるを得ない。
そこで工場実習では、提案制度、 現場改善、 ムダの排除、5S等基本的な実習を行った。その結果、ベニヤの歩留まり向上や作業時間のムダ解消に関する良い指摘が提案された。これらは、社会経済生産性本部の伴竜二先生や私から学んだ改善手法を活用したものである。
最後に、研修生に対し下記の提案を行った。
- 理論に留まらず 現場に入り 現場を好きになってほしい。
- 製品、半製品はもちろんのことダストレベルまで5Sを推進し 不良率を下げてほしい。
- 国際競争力を高める為にはムダの排除から推進してほしい。
- 全従業員参加型の改善活動・人材育成を行ってほしい。
今後の研修生の活躍を期待している。